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- 配当金も株価も成長する優良企業を見つけたい
- JTはいつが買い時なの?
- JTの株を保有し続けて問題ないかを知りたい
配当利回りと知名度・話題性で、投資先を決めていませんか?
私は高値づかみ…含み損…減配…と失敗を繰り返してきました。雰囲気で投資先を決め、企業の抱えるリスクを見落としてきたのが原因です。
企業分析・買い時分析・競合比較をおこなうことで、根拠に基づいた投資の重要性を学びました。10年間投資を続け、保有する48企業中45企業でプラス、含み益+500万円を達成しています(2025年8月時点) 。

この記事では、JTの「企業分析」「買い時分析」について徹底解説します。
最後まで読めば、企業の本質的な価値と競合との優劣を見極める具体的な方法がわかります。高値掴みを避け、再現性のある堅実な配当株投資を始めましょう。
JTは国内のたばこ事業を独占し、グローバル市場では販売数量ベース世界第3位のシェアを誇っています。高配当・高い還元方針で知られ、JT法により政府が筆頭株主になることが定められている国策企業です。
分析の結果「ポートフォリオのアクセント枠」、買い時は「配当利回り6.2%以上」となりました。
▼JTの企業分析
| 項目 | 評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 業種 | ディフェンシブ | 食料品 (アルコール・タバコ) |
| 売上高 | 短期で上昇 | 20年から上昇、最高売上更新 |
| EPS | 横ばい | 20年から上昇傾向 |
| ROE | 4.72% | 24年に大きく減少 |
| PBR | 2.31倍 | 22年から上昇傾向 |
| 自己資本比率 | 45% | 安定した財務基盤 |
| 配当金 | 減配あり | 21年に減配 |
| 配当性向 | 192.2% | 長期で70%前後を推移 |
| 配当方針 | 配当性向を目標 | 配当性向75%を目安 |
▼JTの買い時分析

- 買い時 6.2%以上
- 6.2%以上で購入できた日数は、699日
10年間(2,465日)のうち、28%の営業日
【初めての方へ】2つの分析方法を解説

JTの解説をする前に、私がおこなっている2つの分析方法について紹介します。
配当株投資で成功するために、分析をおこなう目的は次の2つです。
- 企業分析から、優良な企業を選ぶ
- 買い時の分析から、高値掴みをしない購入タイミングを決める
上場企業約4,000社の中から、「配当金も株価も成長する優良企業」を見つけます。売上高やROEなどを項目ごとに分析し、基準値を満たす企業を選びます。
どれだけ優良企業であっても、高値掴みは配当金と資産の成長にとってマイナスです。高値掴みを避けるため、データに裏づけられた買い時を判断します。
「企業分析」で優良企業を見つける
4000社ある膨大な日本企業の中から、分析する価値のある有望な企業だけに絞り込みます。
5つの条件で、足切りをおこなう
- ROE(自己資本利益率)8%以上(収益性)
- 自己資本比率 20%以上(財務健全性)
- 配当性向 50%以下(配当金の持続性)
- 配当利回り 2%以上(最低限のリターン)
- 平均売上高成長率 0%以上(成長性)
この5つの条件は、「配当金」と「資産」の成長を狙うための最低ラインです。企業の「稼ぐ力・安定性・成長性」をバランス良く見ることで、優良企業の候補を効率的に見つけ出します。
次に、候補の中から下記の項目をチェックし、それぞれ評価をおこないます。
| 項目 | 優秀 | 良 | イマイチ or NG |
|---|---|---|---|
| 売上高 (企業の収入) | 安定した右肩上がり | ジグザグでも右肩上がり | 右肩下がり |
| EPS (稼ぐ力) | 右肩上がり | 横ばい | 右肩下がり |
| ROE (収益性) | 12%以上 | 10%以上 | 8%以下 |
| PBR (純資産に対する割安さ) | 1倍以下 | 1倍〜1.3倍 | 1.3倍より上 |
| 自己資本比率 (財務健全性) | 60%以上 | 30%以上 | 20%未満 |
| 配当金の推移 | 連続した増配傾向 | 増配傾向 | 減配実績あり |
| 配当性向 (増配余力) | 30%以下 | 50%以下 | 50%以上 |
| 配当方針 | DOE、累進配当 | 配当性向を目標 | 設定なし |
売上高・EPS・配当金の推移を重視しつつ、多くの項目で良い評価を獲得している企業が、優良企業となります。ROE・PBRや自己資本比率は、ビジネスモデルが影響するため業種による傾向があります。1社の分析だけで判断せず、競合比較することが重要です。

長期的に安定かつコツコツ成長している企業を評価します。
企業分析の詳細については、下記の記事で解説しています。
【再現性あり】失敗しない配当株の選び方|初心者がハマる高配当の罠を解説
「買い時の分析」で、高値掴みを避ける
優良企業を厳選したうえで、高値掴みを避けることが重要です。10年間の配当利回りを2つの方法で分析して、根拠のある買い時を配当利回りから特定します。
- 10年間の全体を分析:高値掴みを避けた買い時を決める。
- 暴落時の分析:暴落時の最安値、「最大配当利回り」を確認する。
10年間分ある配当利回りのデータは、Pythonで解析しています。
10年間の全体を分析
各取引日の最低株価と実績配当金のデータを使用して、「最大配当利回り」と「ヒストグラム」をグラフ化します。
「買い時の利回りで購入できる日は、10年間で何日あったか?」を統計的に評価し、高値掴みをしない「買い時」を決めます。
- 最大配当利回りのグラフ
- 10年間の配当利回りにおける、中央値とサポートライン(投資家に意識されている利回り)を確認
- ヒストグラム
- 利回りごとの取引日数をカウント。サポートライン以上で、購入できた日数の割合を計算する。
▼参考例:グラフとチェックリスト

- 中央値
- サポートライン
- 買い時の利回りで、購入できた日は何日あるか
次に、暴落時の最大利回りを確認します。暴落の基準として、サーキットブレーカーの発動を目安にしています。
暴落時の分析
サーキットブレーカーが発動した、下記タイミングの最大利回りを確認します。
- 2020年3月
新型コロナウイルスによるショック - 2024年8月
日銀の金融政策変更によるショック - 2025年4月
米国のトランプ関税によるショック
株を購入するタイミングは、10年間の分析で決めた買い時まで、株価が下がったときです。買い時からさらに株価が下がったときに、追加で購入をおこないます。暴落時の最大利回りになるまで株価が下がった場合、購入予定の株数まで購入します。

高値掴みのリスクを避けるため、購入するタイミングは3回に分散します。
買い時と購入タイミングの分散については、詳細を下記の記事で解説しています。
【データで判断】配当株投資の「買い時」を解説|高値掴みを避ける分析法
JTの企業分析

JTの足切り条件を評価します。日本企業4,000社の中から、「配当金と株価が成長する優良企業の候補」を絞り込みます。
▼足切り条件で、JTを評価
| 項目 | 合格基準 | JT |
|---|---|---|
| 収益性 | ROE 8%以上 | 4.72% |
| 財務健全性 | 自己資本比率 20%以上 | 45% |
| 配当金の持続性 | 配当性向 50%以下 | 192.2% |
| 最低限のリターン | 配当利回り 2%以上 | 4.34% |
| 成長性 | 売上高成長率 0%以上 | 7.7%(5年) |
(2025年11月6日)
ROEと配当性向が基準を満たさず、足切りに引っかかっています。JTは、現時点で優良企業の候補ではありません。
👤「今後、JTが優良企業の候補に昇格できる❓」
👤「すでに保有しているけど、持ち続けて大丈夫かなぁ💦」
上記を判断するため、詳細分析を行います。
JTの概要:グローバル展開する国策企業
JT(日本たばこ産業株式会社)は、たばこ事業をメインに、医薬事業、加工食品事業を展開するグローバル企業です。
- たばこ事業:国内外でたばこ製品(燃焼性、加熱式など)の製造・販売を行う
- 医薬事業:医療用医薬品の研究開発およびプロモーションを行う。
- 加工食品事業:冷凍・常温食品、調味料等 の製造・販売を行う。
利益成長の中核かつ牽引役は、たばこ事業です。世界130以上の国と地域でたばこ製品の製造・販売を行っており、グローバル市場における販売数量ベースでは世界第3位のシェアを誇ります。
JTの特徴
- JT法に基づく「国策企業」としての安定基盤
- NTTや日本郵政と同じく、日本たばこ産業株式会社法(JT法)によって「政府が1/3以上の株式を保有すること」が義務付けられています。国内たばこ事業について、独占的な収益基盤をしています。

法律で定められた企業として、NTTと日本郵政があります。こちらで比較。
- 「加熱式たばこ」への投資を優先
- 「高温加熱型の加熱式たばこ」最優先の投資対象とし、将来の利益基盤と考えています。2028年末までに黒字化達成という中期目標を掲げています
- 高い配当性向を方針として定める
- JTは、配当性向75%を目安とする配当方針を定めています。この方針は、他業種の企業と比較しても圧倒的に高く、積極的な還元姿勢です。以前から配当目的の投資先として、知名度が高いです。
- 多様な事業とグループの補完関係
- JTは、たばこ事業の他にも、医薬事業と加工食品事業を展開しています。JTグループ全体の利益成長を補完する役割を担い、医薬事業は創薬力の向上、加工食品事業は収益性の高いトップライン成長を目指しています。
- 特殊要因による利益の変動リスク
- グローバルに事業展開しているため、為替変動の影響を受けます。また、たばこ規制の導入・変更、国内外の訴訟の動向といったリスクに晒されています。
- 2024年期「カナダ・ケベック州における喫煙と健康に係る訴訟の和解」にともない、訴訟損失引当金3,756億円を計上しました。そのため、当期の純利益が大幅に減少し、EPS・ROE・配当性向といった指標に影響が出ています。
JTの属する食料品セクター(アルコール・たばこ)について解説します。
食料品セクター(アルコール・たばこ)の特徴は?
- ディフェンシブセクター
- 製品(酒・たばこ)は、景気が悪化しても需要が急激に落ち込みにくい性質を持っています。不況下でも売上が安定しやすいため、配当金が守られやすいのが強みです。
- 安定したキャッシュフロー
- 根強い需要(依存性)があり、リピート購入が基本となります。売上やキャッシュフローが非常に安定・予測しやすいビジネスモデルです。
- 強力な価格決定力
- 製品の特性上、顧客が価格上昇に鈍感な傾向があります。そのため、政府による増税やコスト増を製品価格に転嫁しやすく、販売数量が減少しても利益を維持・向上させることが可能です。
- 成熟産業ゆえの高い株主還元
- 巨大な新規設備投資の必要性が低い「成熟産業」です。そのため、利益を自社株買いや配当金といった、株主に還元する使用する傾向があります。
JTの業績を押し下げる懸念点は、以下の通りです。
- 代替品への移行リスク
- たばこ業界では「加熱式たばこ」や「電子たばこ」への移行が進んでいます。今後、市場の変化に対応する必要があります。
- 規制・増税・訴訟のリスク
- 健康への悪影響があるため、規制が進むことが考えられます。また、政府の税収確保のために「たばこ税」が引き上げられやすく、減収の要因になります。
- 長期的な需要の減少
- 健康志向の高まりにより、先進国における喫煙率は長期的に減少傾向。販売数量の減少を価格引き上げや新興国市場の開拓で、カバーする必要があります。
売上高○:2020年以降右肩上がり、過去最高を更新
売上高のポイントをチェック【Click🔍】
売上高は、企業の成長性を示す指標であり、事業投資および配当金の源泉です。株価および配当金の成長性を判断する上で、安定した売上の成長が重要。
- ◎:長期で連続した綺麗な右肩がり
- ○:長期で右肩上がり
- ×:成長していないor減少傾向

売上高 3兆1,498億円(2024年12月期)
2010年以前は会計方法が異なり、たばこ税を含めた売上高です。たばこ税を除いた、2011年以降のデータで分析します。
2011年から約10年間は横ばい、2020年から上昇傾向。2024年期の売上高は、過去最高を更新しています。
EPS○:横ばい、2020年から上昇傾向
EPSのポイントをチェック【Click🔍】
EPS=純利益÷発行済み株式数
1株あたりの利益を示す指標。
企業の使命は、EPSを成長させることです。事業投資などで純利益が下がると、一時的にEPSも下がります。EPSの成長は増配期待につながるため、長期での増加傾向が重要。
- ◎:一時的な上下があっても増加傾向
- ○:横ばいで推移
- ×:減少傾向

EPS 101円(2024年12月)
減少傾向で推移し、2020年以降は上昇傾向にトレンドが変わっています。直近2024年のEPSは、前年比較-62.8%と大幅に下落しています。
訴訟損失引当金として3,756億円が計上され、利益が減少したことが原因です。2025年期は訴訟損失引当金がなくなり、EPS 316.6円まで回復する見込み。
ROE×:訴訟損失引当金の影響で4.72%に下落
ROEのポイントをチェック【Click🔍】
ROE=純利益÷自己資本×100
自己資本をいかに効率的に使って利益を出しているかを示す指標。
ROEが高いほど「収益性」の高い企業、日本企業の平均ROEは8〜9%(大和総研)です。一方、自己資本が少ない(=借金過多)ため、ROEが高い場合に注意。
- ◎:12%以上
- ○:10%以上
- △:8%以上
- ×:8%未満

ROE 4.72%(2024年12月)
2012年以降、右肩下がりです。それでも、長期で12%以上を継続しており、高収益な体質の企業です。2024年は、訴訟損失引当金3,756億円の影響で4.72%まで下がりましたが、2025年期には13.57%へ回復見込みです。
PBR△:2022年から上昇傾向、2.31倍
PBRのポイントをチェック【Click🔍】
PBR=株価÷1株あたりの純資産
企業の保有する純資産に対して、株価の割安さを示す指標。
PBR1倍以下は、企業の純資産に対して企業価値が低い状態(例:1万円の入った財布が、1万円以下で売られている状態)。PBRが高い場合でも、企業評価として問題はない。
東証はPBR1倍以下の企業に改善策を要請している(日本経済新聞)。そのため、1倍以下の企業は、企業価値を上げるために増配や自社株買いが期待できます。
- ◎:1倍以下
- ○:1〜1.3倍
- △:1.3倍より上

PBR 2.31倍
2022年の最小値から上昇し、直近は最大値近くを推移している。2022年から株価が上昇している。
自己資本比率○:45%、安定した財務体質
自己資本比率のポイントをチェック【Click🔍】
自己資本比率=純資産÷総資産×100
企業の「財務健全性」を示す指標。
自己資本比率が高いほど借金が少なく倒産リスクが低いため、不況時でも配当を維持しやすい安定性があります。大規模な事業投資により一時的に借金が多くなることがあるため、傾向も合わせて確認することが重要。
- ◎:60%以上
- ○:30%以上
- △:20%以上
- ×:20%未満

自己資本比率 45%(2024年12月)
50%前後の自己資本比率を安定して維持。
配当金×:2021年に減配
配当金のポイントをチェック【Click🔍】
配当金は、配当株投資における最終目標。
長期で安定的に成長している企業を厳選。原則、過去に減配や無配転落をしていない企業を選びます。ただし、世界的な経済ショック(コロナショックなど)により、短年のみ減配している企業は、よく分析して判断します。
- ◎:安定的、連続的な増配傾向
- ○:断続的に長期で増配傾向
- ×:減配or無配実績がある

1株配当金 194円(2024年12月)
長期的に右肩上がりで増配、2021年に減配を実施している。しかし、2022年には長期の増配傾向に戻して、配当金を増額した。10年で1.94倍(100円→194円)に成長。
増配率(10年平均)
増配率を計算した結果、10年平均増配率(CAGR)は6.85%です。
▼10年平均増配率(CAGR)の計算式
6.85%=(100円÷194円)(1÷10年)−1
配当性向×:70%前後を推移、直近192.2%
配当性向のポイントをチェック【Click🔍】
配当性向=配当金の支払い総額÷純利益×100
配当金の継続可能性を示す指標。
減配することなく継続が可能か、増配する余力が残っているかを判断します。配当性向100%で利益の全てを配当金に当てている状態、100%以上で借金or貯金から支払っている状態です。
- ◎:30%以下
- ○:50%未満
- ×:50%以上

配当性向 192.2%(2024年12月)
70%前後の配当性向を長期的に推移、2024年には192.2%に急増。訴訟損失引当金3,756億円の影響で利益が減少し、配当性向が増加しています。
訴訟損失引当金3,756億円がなかった場合、2024年期の利益は4,634億円。配当金194円での配当性向は74.3%になります。
目標の配当性向により予定していた配当金を維持し、訴訟損失引当金によって利益が減少したため、配当性向が一時的に急増192.2%になったとわかります。
配当方針○:配当性向75%目標
配当方針のポイントをチェック【Click🔍】
企業と株主の約束であり、企業の還元姿勢を確認します。IR資料をチェックし、意味のある配当方針を掲げていること重要です。配当金の維持や成長に関連した方針を評価し、「安定的な配当を継続する」といったお気持ち表明の方針は評価しません。
- ◎:累進配当制度やDOE制度など
- ○:配当性向を目標にしている
- ×:明確な配当方針がない

配当性向75%(±5%程度)を目安とする(2024度:決算説明資料)
基準値50%を超える、配当性向75%(±5%程度)を目安に配当方針を定めています。そのため、配当性向が70%前後と高く推移していますが、方針を守って配当金を出していると言えます。
【深掘り】2021年の減配を分析
2021年の減配について、深掘りをします。2022年2月15日「2021年度の決算説明」において、通期業績が増収・増益・減配と発表されました(2021年度通期決算説明資料)。
▼2020年→2021年比較
- 売上高:20,926億円→23,248億円
- 純利益:3,103億円→3,385億円
- 配当金:154円→140円
- EPS:174.8円→190.7円
- 配当性向:88.1%→73.4%
JTは配当方針として「配当性向75%±5%」を目安にしています。減配せず、154円で維持した場合の配当性向を計算します。
配当維持した場合の配当性向
配当維持(154円)した場合の2021期の配当性向を計算します。
配当性向=配当金[154円]÷EPS[190.7円]×100→80.73%
方針とする配当性向の上限が80%、前年も配当性向の上限を超えた配当金を出している…。
「なんとか踏ん張って減配せず、配当金を維持して欲しかった…」というのが、率直な意見です。
企業分析のまとめ:ポートフォリオのアクセント枠
ここまでの分析内容について、まとめます。
| 項目 | 評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 業種 | ディフェンシブ | 食料品 (アルコール・タバコ) |
| 売上高 | 短期で上昇 | 20年から上昇、最高売上更新 |
| EPS | 横ばい | 20年から上昇傾向 |
| ROE | 4.72% | 24年に大きく減少 |
| PBR | 2.31倍 | 22年から上昇傾向 |
| 自己資本比率 | 45% | 安定した財務基盤 |
| 配当金 | 減配あり | 21年に減配 |
| 配当性向 | 192.2% | 長期で70%前後を推移 |
| 配当方針 | 配当性向を目標 | 配当性向75%を目安 |
JTは、「ポートフォリオのアクセント枠」の一つと考えています。ポートフォリオのメインには添えず、ポートフォリオ全体の数%(配当金)になるように保有します。メインに添えるのは、安定かつ成長する優良企業です。
たばこ事業を独占し、最高売上高を更新。高収益かつ株主還元姿勢が強く増配傾向なのは優秀です。「配当方針で配当性向75%を目安」にしているため、配当性向の基準値以上ですが問題ありません。
しかし、2021年にある減配実績が大きな懸念点です。JTの特徴として、突発的な減益は今後も考えられます。安定した配当金を維持できるか…引き続き、JTの配当金推移について注視します。

24年期は、訴訟損失引当金の計上により配当性向が192.2%になりましたが、配当金を維持しています。
- JTにおこなった優良企業を見つける企業分析は、【銘柄スカウター】で効率的になります。銘柄スカウターの使い方10選はこちら。
JTの買い時分析

JTの配当利回りを分析し、買い時を決めます。
- 10年間の全体を分析:高値掴みを避けた買い時を決める。
- 暴落時の分析:暴落時の最安値、「最大配当利回り」を確認する。
買い時は、配当利回り6.2%以上
10年間で、取引可能な営業日は2,465日ありました。配当利回りの中央値は5.03%です。
ヒストグラムから取引日数が集中している利回り、最大配当利回りの山谷から、市場が意識しているサポートラインを設定します。
- 中央値より下:4.3%
- 中央値より上:5.8%、6.2%
それぞれの配当利回りで、分析をおこないます。

- サポートライン 4.3% ×
- 購入できた日数:1,832日
10年間(2,465日)で、74%の取引日数
→74%の購入タイミングは多い、高値掴み - サポートライン 5.8% △
- 購入できた日数:1,022日
10年間(2,465日)で、41%の取引日数
→41%の購入タイミングは少し多い、若干割高 - サポートライン 6.2% ○
- 購入できた日数:699日
10年間(2,465日)で、28%の取引日数
→買い時と判断

買い時分析の結果、6.2%を買い時としました。
暴落時の最大利回りは、8.3%

暴落時につけた株価の最安値から、最大利回りを計算します。暴落の基準として、サーキットブレーカーが発動したときの最大利回りを確認します。
- 新型コロナウイルスによるショック
- 最大利回り:8.3%(2020年3月)
- 日銀の金融政策変更によるショック
- 最大利回り:5.6%(2024年8月)
- 米国のトランプ関税によるショック
- 最大利回り:5.2%(2025年4月)

新型コロナショック時に8.3%までの下落しています
まとめ:【2025年度版】購入タイミングの株価

買い時分析の結果
- 買い時:6.2%(699日、28%の営業日)
- 暴落時の最大利回り:8.3%(2020年3月)
分析した配当利回りから、JTの購入タイミングとなる株価を計算します。2025年度の予定配当金1株あたり234円を使用。
- 買い時 6.2%
- 配当金234円、利回り6.2% → 株価3,774円
- 暴落時の最大利回り 8.3%
- 配当金234円、利回り8.3% → 株価2,819円
買い時の株価3,774円になったら、1回目の購入をおこないます。その後、暴落時の最大利回りになる株価2,819円まで下がることを意識し、タイミングを分散して購入します。
- タイミングを分散する購入方法について、こちらで解説しています。
おまけ:株主優待は廃止

2023年発送分を最後に優待制度を廃止(JT:株式優待について)。
まとめ:アクセントとして一部保有

最後に、今回の分析の結論をまとめます。
【👍魅力的なポイント】
- 国内たばこ事業を独占する国策企業であり、強固な収益基盤
- 売上高やEPSは2020年から上昇傾向にあり、過去最高売上を更新
- 「配当性向75%目安」という、高い株主還元方針を掲げている
【⚠️注意すべきポイント】
- 2021年に減配した実績があり、今後もすぐに減配しないか注意
- ROEが長期的に低下傾向、訴訟などの特殊要因による減益リスクがある
【📝投資判断】
JTは、「ポートフォリオのメインではなく、全体の数%を占めるアクセント枠」としての投資先です。2021年の減配実績を重く受け止め、今後も減益局面で配当維持ができるか、引き続き注視が必要です。
【⏳買い時】
買い時は「配当利回り6.2%以上」(株価3,774円 ※2025年度配当234円の場合)です。この水準は10年間で28%の営業日しか到達しておらず、高値掴みを避けられます。
今回のような詳細な企業分析は、難しく感じるかもしれません。しかし、適切なツールを使えば、誰でもスマホ1台10分で優良企業を見つけ出すことができます。
この記事の分析も、マネックス証券の「銘柄スカウター」を活用しています。無料で使える強力なツールなので、あなた自身の力で次のJTを見つけるために、ぜひ使い方をマスターしてみてください。
また、次の記事で。
⚠️当サイトは、情報提供が目的であり特定銘柄を推奨しておりません。投資判断は、自己責任でお願いします。
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【補足】国策企業の比較
JTと同様に法律で政府保有が定められた国策企業として、NTTと日本郵政を比較します。
- NTT(9432)
- 日本の大手通信業社の1角。民営化された現在でもNTT法によって、「政府(財務大臣)がNTTの発行済株式の3分の1以上を常に保有すること」が義務付けられています。
- 日本郵政(6718)
- 日本郵政は日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命を傘下に持つ、持株会社です。郵政民営化法により「政府が発行済株式の1/3超を保有する」ことが義務付けられています。
▼国策企業の比較
| 項目 | JT | NTT | 日本郵政 |
|---|---|---|---|
| 概要 | 2914 プライム | 9432 プライム | 6718 プライム |
| 業種 | 食料品 | 情報・通信 | サービス |
| 売上高 | 短期で上昇 | 右肩上がり | 右肩下がり |
| EPS | 横ばい | 右肩上がり | 右肩下がり |
| ROE | 4.72% | 10.0% | 3.83% |
| PBR | 2.30倍 | 1.41倍 | 0.47倍 |
| 自己資本比率 | 45% | 34.0% | 3.1% |
| 配当金の推移 | 減配あり | 連続的に増配 | 増減なし |
| 配当性向 | 192.2% | 43.5% | 41.9% |
| 配当方針 | 配当性向75%を目安 | 増配の継続を基本方針 | 50円の配当 |
