【花王】日本最長の35期連続増配に潜む罠|配当金の成長性を分析

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【花王】日本最長の35期連続増配に潜む罠|配当金の成長性を分析
  • 配当金も株価も成長する優良企業を見つけたい
  • 連続増配記録は、今後も維持できるか知りたい
  • 花王より優秀な競合がいるのかを確認したい

配当利回りと知名度・話題性で、投資先を決めていませんか? 
私は高値づかみ…含み損…減配…と失敗を繰り返してきました。雰囲気で投資先を決め、企業の抱えるリスクを見落としてきたのが原因です。

企業分析・買い時分析・競合比較を行うことで、根拠に基づいた投資の重要性を学びました。10年間投資を続け、保有する48企業中45企業でプラス含み益+500万円を達成しています(2025年8月時点) 。

この記事では、花王の「企業分析」と「競合比較」について解説します。

最後まで読めば、企業の本質的な価値競合との優劣を見極める具体的な方法がわかります。高値掴みを避け、再現性のある堅実な配当株投資を始めましょう。

花王はとても知名度のある、大手の化学メーカです。「ビオレ」や「アタック」などの、日用洗剤を多く製造販売しています。日本で最長の連続増配記録を持っていることから、配当株の投資先としても有名です。
企業分析の結果、花王への投資はオススメしません。2017年をピークに収益性が悪化しています。一時は配当性向が159.3%まで上昇し、配当を維持できるかが懸念材料です。
花王で買い時分析は行わず、「競合比較」を深掘りします。

▼花王の企業分析

項目評価内容
化学セクター景気敏感
売上高イマイチほぼ横ばい。
EPSNG右肩下がり
ROE高収益10.5%
PBRイマイチ2.89倍で高い。
自己資本比率財務健全57.1%
配当金優秀35期連続増配
配当性向NG65.5%
配当方針NG安定的・継続的な配当

▼花王の競合比較

項目花王ライオンユニ・チャーム
概要4452
プライム
4912
プライム
8113
プライム
特徴70以上のブランド、日用品の総合王者オーラルケア(歯磨き・口腔ケア)に強み衛生用品(紙オムツ・生理用品)のトップメーカー
売上高ほぼ横ばい横ばい右肩上がり
EPS右肩下がり横ばい右肩上がり
ROE10.5%7.39%11.14%
PBR2.89倍1.46倍2.24倍
自己資本比率57.1%59.1%62.3%
配当金の推移35期連続増配連続増配23期連続増配
配当性向65.5%35.3%31.6%
配当方針安定的・継続的な配当累進配当・配当性向30%連続増配・配当性向35%

【初めての方へ】2つの分析方法を解説

花王の解説をする前に、私が行っている2つの分析方法について紹介します。

配当株投資で成功するために、分析を行う目的は次の2つです。

  • 企業分析から、優良な企業を選ぶ
  • 買い時の分析から、高値掴みをしない購入タイミングを決める

上場企業約4,000社の中から、「配当金も株価も成長する優良企業」を見つけます。売上高や成長率などを項目ごとに分析し、基準値を満たす企業を選びます。

どれだけ優良企業であっても、高値掴みは配当金と資産の成長にとってマイナスです。高値掴みを避けるため、データに裏付けられた買い時を判断します。

「企業分析」で優良企業を見つける

膨大な日本企業の中から、分析する価値のある有望な企業だけに絞り込みます。

5つの条件で、足切りを行う

  • ROE(自己資本利益率)8%以上(収益性)
  • 自己資本比率 20%以上(財務健全性)
  • 配当性向 50%以下(配当金の持続性)
  • 配当利回り 2%以上(最低限のリターン)
  • 平均売上高成長率 0%以上(成長性)

この5つの条件は、「配当金」と「資産」の成長を狙うための最低ラインです。企業の「稼ぐ力・安定性・成長性」をバランス良く見ることで、優良企業の候補を効率的に見つけ出します。

次に、候補の中から下記の項目をチェックし、それぞれ評価を行います。

項目優秀イマイチ or NG
売上高
(企業の収入)
安定した右肩上がりジグザグでも右肩上がり右肩下がり
EPS
(稼ぐ力)
右肩上がり横ばい右肩下がり
ROE
(収益性)
12%以上10%以上8%以下
PBR
(純資産に対する割安さ)
1倍以下1倍超数値が大きいほど割高
自己資本比率
(財務健全性)
60%以上30%以上20%未満
配当金の推移連続した増配傾向増配傾向減配実績あり
配当性向
(増配余力)
30%以下50%以下50%以上
配当方針DOE、累進配当配当性向を目標設定なし

売上高・EPS・配当金の推移を重視しつつ、多くの項目で良い評価を獲得している企業が、優良企業となります。ROE・PBRや自己資本比率は、ビジネスモデルが影響するため業種による傾向があります。1社の分析だけで判断せず、競合比較することが重要です。

ゆず
ゆず

長期的に安定かつコツコツ成長している企業を評価します。

企業分析の詳細については、下記の記事で解説しています。
【再現性あり】失敗しない配当株の選び方|初心者がハマる高配当の罠を解説

「買い時の分析」で、高値掴みを避ける

優良企業を厳選した上で、高値掴みを避けることが重要です。10年間の配当利回りを2つの方法で分析して、根拠のある買い時を配当利回りから特定します。

  • 10年間の全体を分析:高値掴みを避けた買い時を決める。
  • 暴落時の分析:暴落時の最安値、「最大配当利回り」を確認する。

10年間分ある配当利回りのデータは、Pythonで解析しています。

10年間の全体を分析

各営業日の最低株価と実績配当金のデータを使用して、「最大配当利回り」と「ヒストグラム」をグラフ化します。
買い時の利回りで購入できる日は、10年間で何日あったか?」を統計的に評価し、高値掴みをしない「買い時」を決めます。

最大配当利回りのグラフ
10年間の配当利回りにおける、中央値サポートライン(投資家に意識されている利回り)を確認
ヒストグラム
利回りごとの営業日をカウント。サポートライン以上で、購入できた日数の割合を計算する。

▼参考例:グラフとチェックリスト

  • 中央値
  • サポートライン
  • 買い時の利回りで、購入できた日は何日あるか

次に、暴落時の最大利回りを確認します。暴落の基準として、サーキットブレーカーの発動を目安にしています。

暴落時の分析

サーキットブレーカーが発動した、下記タイミングの最大利回りを確認します。

  • 2020年3月
    新型コロナウイルスによるショック
  • 2024年8月
    日銀の金融政策変更によるショック
  • 2025年4月
    米国のトランプ関税によるショック

株を購入するタイミングは、10年間の分析で決めた買い時まで、株価が下がったときです。買い時からさらに株価が下がったときは、追加で購入を行います。暴落時の最大利回りになるまで株価が下がった場合、購入予定の株数まで購入します。

ゆず
ゆず

高値掴みのリスクを避けるため、購入するタイミングは3回に分散します。

買い時と購入タイミングの分散については、詳細を下記の記事で解説しています。
【データで判断】配当株投資の「買い時」を解説|高値掴みを避ける分析法

花王の企業分析

花王の企業分析について、解説します。足切りを行った結果、条件に引っかかっています

足切り条件で、花王を評価

  • ROE:10.5% 合格8%以上
  • 自己資本比率:57.1% 合格20%以上
  • 配当性向:65.5%  合格50%以下
  • 配当利回り:2.35% 合格2%以上
  • 平均売上高成長率: 1.5% 合格0%以上

配当金の余力を確認する配当性向65.5%が、基準の50%を上回っています。配当金を減らさずに配当性向を減らすには、純利益を増やす必要があります。花王が収益性を高めて、純利益を増やせられるかが今後の鍵です。

花王の概要:高い知名度と豊富な製品数の大手企業

花王は「豊かな共生世界の実現」を掲げています。消費者に向けた製品(BtoC)と企業に向けた化学製品(BtoB)を扱い、5つの事業で製造・販売を行っています。

  1. ハイジーン&リビングケア事業: 衣料用洗剤、食器用洗剤、生理用品、紙おむつなど。
  2. ヘルス&ビューティケア事業: スキンケア製品、ヘアケア製品、入浴剤など。
  3. ライフケア事業: 業務用衛生製品など。
  4. 化粧品事業: カウンセリング化粧品、セルフ化粧品など。
  5. ケミカル事業: 油脂製品、機能材料製品、情報材料製品など。

中期経営計画(2027年12月)では、「グローバル・シャープトップ」事業(特定の分野で世界No.1の貢献をする事業)の確立を目指しています。その達成のため、ROIC(投下資本利益率)とEVA(経済的付加価値)を経営の主指標とし、構造改革と成長戦略を推進しています。

花王の概要

No.1の連続増配記録
35期連続増配記録を持っており、日本企業で最長の記録になります。増配記録の更新を続けており、配当性向159.3%(2023年12月)でも増配を維持。
改革による収益性の改善
中期経営計画に基づき、ROIC(投下資本利益率)を重視したマネジメントを強化。スキンケア・化粧品・ケミカルなどの事業に投資を集中させ、ヘアケア・サニタリーなどの事業については収益性の改善を進める。
高いブランド力と安定した事業基盤
長年かけて築き上げた高い知名度と全国的な販売網が、大きな強みになります。「ビオレ」や「アタック」など、日常生活で使用する製品を多く抱えています。景気敏感な業種ではあるが、景気の変動を受けにくく安定した収益が期待できる。

2024年12月期 通期決算資料

花王のいる化学セクターについて解説します。

化学セクターの特徴は?

  • 景気敏感セクター:幅広い産業に素材を供給しているため、経済全体の動向に業績が左右されやすいのが特徴。
  • 製品が多岐:基本的な素材、素材を加工した合成繊維、化粧品・洗剤などの最終製品と多岐にわたる。競合比較をすることが重要。
  • 研究開発が重要:より高機能・高付加価値な製品を開発するための研究開発が競争力の源泉となります。
  • 大規模な設備:化学プラントなど、大規模な設備投資が必要。新規参入が難しく、設備を安定して稼働させることが収益性を保つ上でポイントになります。
  • 原油価格の影響:多くの化学製品は石油を原料としており、原油価格の変動が製造コストに直接影響します。

花王の業績を押し下げる懸念点は、以下の通りです。

  • 中国市場の低迷や競争の激化、2024年にはアジアで大幅減収
  • 天然油脂や石油関連といった原料価格の高騰

売上高△:横ばい、2024期は過去最高更新

売上高のポイント

売上は、事業活動の源泉。売上が増加しないと、企業も配当金も成長しない。

  • 長期で綺麗な右肩上がりが理想☀️
  • 上げ下げしながら、右肩上がり⛅️
  • 横ばい、右肩下がりは、減配リスク☔️

連結売上高 1兆6,284億円(2024年12月期)
2014年からの直近10年で見ると、ほぼ横ばい。長期間では、わずかに上昇傾向です。2024年期は過去最高の売上高を更新しています。

EPS×:右肩下がり傾向、直近回復

EPSのポイント

1株あたりの純利益。企業の使命は、利益を出すことであり、EPSを増やすこと。事業投資などで、EPSが一時的に下がることもある。

  • ジグザグしながらも、増加傾向☀️
  • 横ばいは、様子見⛅️
  • 減少傾向であると、減配リスク☔️

EPS 232.0円(2024年12月)
2018年期以降、右肩下がり傾向です。直近2024年期は、232.0円に回復しています。2025期以降、上昇傾向に転ずるのか、右肩下がりを継続するかを注視。売上高が減少傾向ではないため、収益性が急激に悪化していることが考えられる。

ROE○:右肩下がり傾向、直近は10%以上に回復

ROEのポイント

自己資本あたりの純利益。資本を使用して、どれだけ効率的に利益を出しているかの指標。自己資本が少ない(=借金過多)ために、数値が大きい場合がある。

  • 12%以上:優良企業☀️
  • 10%以上:優秀な企業⛅️
  • 8%以下:課題あり☔️

ROE 10.5%(2024年12月)
長年、8%以上のROEを達成しています。しかし、2017年12月をピークに右肩下がり、8%以下の4.49%まで減少しました。2024年に10.5%に回復、継続して高利益を維持できるかがポイントです。

PBR△:5年平均値と同程度

PBRのポイント

企業の純資産に対する、株価の割安さを表す指標。(例:1万円の入った財布が、1万円以下で売られていれば、PBR1倍以下)

  • PBR1倍以下:割安。株価を上げるために増配の可能性がある☀️
  • PBR1倍超:割安でも割高でもない⛅️
  • 数値が大きい:割高。ただし、割高=投資NGではない☁️

PBR 2.89倍(2024年12月)
株価の減少を受けて、5年前よりもPBRが減少。最近は5年平均と同程度の水準。

自己資本比率○:財務健全、55%前後を推移

自己資本比率のポイント

総資産の中で、自己資本(=借金ではない資本)の割合をを示す指標。業界によって、自己資本比率が低くなることがある(例:銀行業、金融業)

  • 60%以上:優良企業、盤石な財務基盤☀️
  • 30%以上:優秀な企業、財務安定⛅️
  • 20%未満:課題あり☔️

自己資本比率 57.1%(2024年12月)
50%以上を維持。おおよそ55%前後を推移しています。財務健全。

配当金◎:35期連続増配、3年で1.06倍と成長は鈍化

配当金のポイント

配当金が投資の最終目的であり、最も大事な指標。長期にわたって、安定して成長し続ける企業を厳選する。

  • 長期で綺麗な右肩上がりが理想☀️
  • 業績に応じて増配、長期で減配なし⛅️
  • 減配or無配の実績があるとNG☔️

1株配当金 152円(2024年12月)
日本企業の中で1番長い、35期連続増配記録を持っています(連続増配株ランキング)。
10年間で2.2倍に増配していますが、直近3年では1.06倍(144円→152円)と成長が鈍化しています。連続増配を継続しながら、増配幅を上げる余力があるか確認することが重要です。

配当性向×:2020年以降、常に50%以上を推移

配当性向のポイント

稼いだ利益のうち、配当金として株主還元している割合。低いほど、増配する余力がある。100%以上では、借金or貯金の取り崩しで配当金を支払っている。

  • 30%以下:増配の余力あり☀️
  • 50%未満:無理のない配当金⛅️
  • 50%以上:将来、減配リスクがある☔️

配当性向 65.7%(2024年12月)
2020年12月以降、常に50%以上を超えています。2023年12月には、最大159.3%まで上昇。連続増配記録を維持するために、意地で増配を継続しています。配当性向が50%を下回り、それを維持できるかが、花王の投資判断について重要なポイントです。

配当方針×:方針として物足りない「安定的・継続的な配当」

配当方針のポイント

配当金に対する方針を示しているか、企業の姿勢が大事。決算資料を確認する。

  • 累進配当制度(減配をしない)やDOE制度(自己資本に連動)がある☀️
  • 配当金を配当性向を目標にしている⛅️
  • 配当金の方針がない☔️

安定的・継続的な配当(2024期、決算説明資料)
「日本で最長の35期連続増配記録、高い配当性向でも増配」を継続しているため、配当金を重視していることは感じる。しかし、「安定的・継続的な配当」は方針として弱い。【36期連続増配記録を目指す】と表記した方が、強い意志を感じる。

企業分析のまとめ:収益性の悪化、高い配当性向が課題

ここまでの分析内容について、まとめます。

項目評価内容
化学セクター景気敏感
売上高イマイチほぼ横ばい。
EPSNG右肩下がり
ROE高収益10.5%
PBRイマイチ2.89倍で高い。
自己資本比率財務健全57.1%
配当金優秀35期連続増配
配当性向NG65.5%
配当方針NG安定的・継続的な配当

花王は、日本最長の35期連続増配を継続中です。しかし、2018年12月期をピークに成長性・収益性が右肩下がり、利益の減少から配当性向が悪化しています。直近3年の配当金は1.06倍で、連続増配していますが成長していません。

現状の花王について、配当株投資として「オススメしません」。花王が優良企業になるためには、収益性を高めて維持することがポイントです。

直近では、EPSとROEが回復しています。継続して改善することで、純利益が上昇し、配当性向が減少します。そうなれば、配当金の成長性も改善され、投資対象の選択肢になります。

花王に行った優良企業を見つける企業分析は、【銘柄スカウター】で効率的になります。銘柄スカウターの使い方10選はこちら

花王の競合比較

花王の競合企業として、ライオンとユニ・チャームを比較します。

ライオン(4912)
事業内容が似ている最大のライバルです。多くの製品カテゴリーで競合しており、業績比較の参考になります。
ユニ・チャーム(8113)
衛生用品(紙オムツ・生理用品)で競合しています。23期連続増配(日本で7位)をしており、投資目線で比較します。

それぞれの業績や特徴を比較します。

▼花王の競合比較

項目花王ライオンユニ・チャーム
概要4452
プライム
4912
プライム
8113
プライム
特徴70以上のブランド、日用品の総合王者オーラルケア(歯磨き・口腔ケア)に強み衛生用品(紙オムツ・生理用品)のトップメーカー
売上高横ばい横ばい右肩上がり
EPS右肩下がり横ばい右肩上がり
ROE10.5%7.39%11.14%
PBR2.89倍1.46倍2.24倍
自己資本比率57.1%59.1%62.3%
配当金の推移35期連続増配連続増配23期連続増配
配当性向65.5%35.3%31.6%
配当方針安定的・継続的な配当累進配当・配当性向30%連続増配・配当性向35%

2025年10月時点

化学セクターの中でも、トイレタリー(身だしなみを整えるための日用品)に含まれる業種です。花王は日用品を幅広く展開しています。それに対し、ライオンはオーラルケアと一般用医薬品に強みを持ち、ユニ・チャームは生理用品とペットケア製品に特化しています。

ライオンの特徴

オーラルケアへの特化と習慣化マーケティング

ライオンはオーラルケア分野に重点を置き、アジア全体でブランドの価値を高めるマーケティング戦略に掲げています。

オーラルケアを中心とした生活用品
  • クリニカ、NONIO 【花王:ピュオーラ】
  • キレイキレイ 【花王:ビオレu】
  • トップ 【花王:アタック】

配当方針の安定性(累進配当)

▼ライオンの還元方針と配当金

累進配当を基本としており、配当性向30%を目安に、株主還元を行う方針です。

効率性の追求とDX推進

事業成長と効率性のため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた収益力の強化を目指しています。

▼ライオンのROE

2018年以降ROEが減少傾向にあり、直近回復しています。花王と同じような推移をしていることから、収益性の悪化は業界による事情です。

外部環境リスクへの対応

花王と同様に、原材料価格の変動(天然油脂や石油関連原料)や地政学リスクの影響を受ける可能性があります。

ユニ・チャームの特徴

衛生用品とペットケア製品への集中

紙おむつ(ベビーケア、ウェルネスケア)や生理用品(フェミニンケア)を主力製品です。不織布・吸収体関連の分野で高い技術力と市場シェアを持っています。
  • ムーニー 【花王:メリーズ】
  • ソフィ 【花王:ロリエ】
  • シルコット 【花王:ビオレuウェットシート】
独立した事業として、ペットケア事業を展開。犬猫の健康をサポートするペットフードやペットシート・紙オムツの商品開発を行なっています。

高いグローバル成長力と新興国市場での優位性

花王の海外売上比率が44.5%のところ、ユニ・チャームは65.6%ありグローバル展開が非常に進んでいます。特に東南アジア地域やインドで、高い売上高成長を実現しています。ベビーケア用品の普及に加え、急速に進む高齢化への対応は重要な戦略の一つです。

連続増配を還元方針

▼ユニ・チャームの還元方針と配当金

連続増配を還元方針にしっかり掲げている。24期連続増配に加え、10年で3.5倍の高成長。配当性向の目標を35%に引き上げたため、配当金の成長が期待できる。

為替変動リスク

海外売上比率が6割を超えるため、大きな為替変動リスクを抱えています。これに対し、為替ヘッジや在外子会社からの積極的な配当実行により、リスクの最小化を図っています。

競合まとめ

3社を比較した結果、現時点での投資先として「ユニ・チャーム」が最も魅力的です。

花王
35期連続増配の実績は素晴です。一方、継続して配当性向が50%を超えています。配当金の継続性・成長性を考えると、収益性の回復が重要です。
ライオン
累進配当」を掲げているため減配リスクは低く、安定性を重視する投資家には魅力的です。配当性向も35.3%と健全な水準です。一方、業績が横ばいなため、今後の成長性に懸念が残ります。
ユニ・チャーム
業績・利益ともに成長しており、配当性向も低いです。連続増配を方針に掲げ、目標の配当性向を35%に引き上げたため、配当金の成長性に期待ができます。

ユニ・チャームは成長性、収益性、株主還元と優秀な一方、配当利回りが1.89%とやや低いです。そのため、しっかりと監視を行い、利回りが上昇したタイミングで購入したいです。

まとめ:花王のポイント

最後に、今回の分析の結論をまとめます。

【👍魅力的なポイント】

  • 連続増配の実績:日本最長!35期連続増配記録。
  • 確立されたブランド力:高い知名度と全国にある販売網が強み。

【⚠️注意すべきポイント】

  • 成長性・収益性の悪化:2017年以降、EPSとROEが右肩下がり。
  • 配当金の成長性:配当性向が50%を超えており、直近3年では1.06倍しか増えていない。
  • 競合との差:成長著しいユニ・チャームと比較すると、成長性で見劣りする。

【投資判断】
 結論として、今の花王への投資は「オススメしません」。しかし、収益性が回復し、配当性向50%以下を継続できるようになれば、投資対象になります。
現時点では「ユニ・チャームへの投資がオススメ」です。

今回のような詳細な企業分析は、難しく感じるかもしれません。しかし、適切なツールを使えば、誰でもスマホ1台10分で優良企業を見つけ出すことができます。

この記事の分析も、マネックス証券の「銘柄スカウター」を活用しています。無料で使える強力なツールなので、あなた自身の力で次の花王を見つけるために、ぜひ使い方をマスターしてみてください。

また、次の記事で。

⚠️当サイトは、情報提供が目的であり特定銘柄を推奨しておりません。投資判断は、自己責任でお願いします。

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【補足】連続増配株ランキング ベスト20

連続増配を続けている企業をランキングで20社紹介します(2025年9月1日時点)。

順位連続増配年数企業名業種事業内容
1位35年花王化学「ビオレ」や「アタック」など、日用品や化粧品の製造販売
2位27年SPK卸売自動車の修理や車検で使用する部品の販売
3位26年三菱HCキャピタルその他金融企業向けに機械や設備を貸し出す(リース)会社
4位25年小林製薬医薬品「熱さまシート」など、医薬品や日用品を開発・販売
4位25年ユー・エス・エス小売中古車を業者間で売買するためのオークション会場を運営
4位25年リコーリースその他金融コピー機など事務機器を中心にリースや融資を行う
7位23年ユニ・チャーム化学「ムーニー」や「シルコット」など、おむつや生理用品の製造販売
7位23年リンナイ金属製品給湯器やコンロなど、ガスを使った生活機器の製造
7位23年KDDI情報・通信「au」ブランドで携帯電話サービスを提供する大手通信会社
7位23年沖縄セルラー電話情報・通信沖縄県で「au」ブランドの携帯電話サービスを提供する会社
7位23年サンドラッグ小売医薬品や化粧品を販売するドラッグストアチェーン
12位22年サンエー小売沖縄県でスーパーやレストラン、衣料品店などを展開
12位22年パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス小売「ドン・キホーテ」などのディスカウントストアを運営
14位21年ロート製薬医薬品「ロートZi:」などの目薬や、「肌ラボ」などの化粧品の製造販売
14位21年栗田工業機械工場などで使われる水をきれいにする装置や薬品の製造販売
14位21年高速卸売食品工場で使うトレーやラップなどの包装資材の販売
14位21年ニトリホールディングス小売家具やインテリア用品の販売
18位20年プラネット情報・通信日用品メーカーと卸売業者の間で受発注データをやり取りするシステムを提供
18位20年芙蓉総合リースその他金融企業向けに様々な設備や不動産などを貸し出す(リース)会社
18位20年みずほリースその他金融企業向けに機械や情報機器などを貸し出す(リース)会社

引用 「連続増配ランキング ベスト20」ダイヤモンド・ザイ

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