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高配当を期待して買った株…。
想定外に値上がりしていく⤴️
うれしい反面、株価に対する配当利回りは下がります💦。
例えば
配当50円の株を1,000円、利回り5%で買ったとします。
株価が3,000円まで上がると、利回りは5%から約1.7%へ下がります。
こんなとき、迷いませんか?

- 安く買えたのだから、このまま持ち続けるべき?
- いったん利益を確定し、別の高配当株へ組み替えるべき?
- 売るなら、全部と半分のどちらがよい?
私も以前は保有か売るか迷い続けていました。
今では運用ルールに従って判断をし、先日も保有株を100株すべて売却しました。
本記事で解説するのは、新しく株を買うときの「買い時」ではありません。
すでに持っている株を利確し、組み替えるかを判断する方法です。
原則は長期保有です。
それでも永久保有と決めつけず、時価に対してどれだけ配当を生むのかと、配当金の成長性を3ステップで見直します。
ポートフォリオ運用の全体像は、「配当株ポートフォリオの作り方とメンテナンス方法」でまとめています。
結論:2つの基準を満たしたら、組み替えを検討する

先に結論です。
私が利確を検討する基準は、次の2つです。
- 時価利回りが2%以下
- 10年増配率(CAGR)が15%以下
両方を満たしたら、ポートフォリオ全体の分散を確認し、全部売るか、一部を残すか決めます。
今回、私の保有銘柄の中で日本ケアサプライ(2393)が2つの基準に当てはまりました。
ポートフォリオの分散は崩れないと判断し、2026年6月23日に100株すべてを売却しています。
なぜこの基準なのか、順番に解説します。
なぜ取得利回りではなく、時価利回りで見直すのか

配当が変わらないまま株価が上がると、時価利回りは下がります。

これは企業の事業効率が落ちた、という意味ではありません。保有している資産の時価に対して、受け取れる配当の割合が下がったということです。
含み益は、次に投資できる原資
投資界隈では「含み益は幻」と言われます。
しかし、売却すれば、次の高配当株へ振り向けられる原資になります。
そのため、取得単価ではなく、現在の株価を基準にして「このまま持ち続けるのがよいか」を考えます。
一方で、株価の上昇(利回りの減少)だけで、機械的に売るのは早計です。
高い増配が続けば利回りが上昇し、持ち続けるのが正解だったとなります。
そこで、時価利回りと増配率を組み合わせて判断します。
「増配率15%」で判断する理由

なぜ「増配率15%」で利確・組み替えを検討するのか理由を解説します。
目安にするのは、72の法則です。
🔍72の法則とは
資産や配当が2倍になるまでの年数を「72 ÷ 成長率(増配率)」で計算できる法則。
▼計算例
増配率が15%なら、72÷15≒4.8年。
つまり、約5年で配当が2倍になる計算です。
配当が2倍になると、利回りはどうなるか
この時、「時価利回り2%の株」について考えてみます。
株価が変わらず、配当が5年で2倍になれば、5年後の時価利回りは約4%です。
時価利回り2%から5年後に4%へ成長するためには、増配率は約15%が必要。
そのため、次のような線引きをしています。
- 15%より上→保有継続
- 15%以下→組み替えを検討
ただし、「4%」も「5年」も、私が決めた運用基準です。
数学的に正しい唯一の答えではありません。
- 配当金が成長した将来、配当利回りを何%欲しいのか
- 求める配当利回りまで、何年待つことができるか
この2つを自分の目標に置き換えれば、必要な増配率も変わります。
【参考】5年後に目標とする時価利回りを変えた場合
時価利回り2%の株を基準に考えます。5年後にそれぞれの時価利回りに成長するため、必要な増配率を計算しました。
| 5年後の時価利回り | 必要な配当倍率 | 必要な増配率 |
|---|---|---|
| 3.0% | 1.5倍 | 約8% |
| 3.5% | 1.75倍 | 約12% |
| 4.0% (私の基準) | 2.0倍 | 約15% |
| 4.5% | 2.25倍 | 約18% |
| 5.0% | 2.5倍 | 約20% |
【参考】時価利回り4%まで、待てる期間を変えた場合
同じく時価利回り2%を基準に考え、2倍の4%になるまでの期間から、必要な増配率を計算しました。
| 増配を待つ期間 | 必要な増配率 |
|---|---|
| 3年 | 約26% |
| 5年(私の基準) | 約15% |
| 7年 | 約10% |
| 10年 | 約7% |
※表の増配率は「(目標利回り ÷ 現在の利回り)の(1 ÷ 年数)乗 − 1」で計算し、整数に丸めています。72の法則は、考え方をつかむための簡易な目安です。
増配率は単年の変化ではなく、CAGR(年平均成長率)で確認します。計算方法は、「ポートフォリオの増配率を計算する方法」で詳しく解説しています。

長期目線で増やすのならば、必要な増配率は低くなります。
2つの条件を満たしたら、売却量をどう決めるか

①と②の両方を満たしても、必ず全部を売るわけではありません。
ここでは「売るかどうか」ではなく、どれだけ売るかを決めます。
確認するのは、シンプルに1点です。
この銘柄を外しても、分散が崩れないか?
- 売却後、特定の業種・銘柄へ偏らないか
- 同じ業種で、ほかに保有している銘柄があるか
- 景気敏感銘柄へ偏らないか
分散が崩れないなら全部を売り、弱くなるなら一部を残します。
保有している銘柄の構成や株数は、人それぞれです。ポートフォリオに合わせて調整を行います。
利確・組み替えを判断する3ステップ

利確・組み替えする銘柄と株数は下記のステップで決めます。
- ステップ①:時価利回りが2%以下か
- 該当すれば、買い替えの候補にします。
- ステップ②:10年増配率が15%以下か
- ①と②の両方を満たせば、組み替えを本格的に検討します。
- ステップ③:全体の分散は崩れないか
- 全部売るか、一部を残すか決めます。
ポイントは、ステップ①と②の両方を満たすこと。
利回りが下がっただけでも、増配率が低いだけでも動きません。両方を満たして、はじめて組み替えの検討へ進みます。
【実践】保有していた株を3ステップで判定する

ここからは、私が保有していた日本ケアサプライ(2393)で、3ステップの判断を実践します。
これは企業分析の記事ではありません。保有株の数値が条件に当てはまったため、運用ルールの実例として紹介します。
- 今回の判定に使う前提
- 対象:日本ケアサプライ(2393)
業種:サービス業
事業内容:介護保険の対象となる福祉用具を、地域の貸与事業者へレンタル・販売する卸売事業が中核です。
取得単価:1,360円
売却時の株価:4,360円
予想1株配当:74円(2027年3月期の会社予想)
※判定は売却前に行っています。本記事の利回りは、実際の約定単価4,360円で再計算した値です。
ステップ①:時価利回りは2%以下か
取得単価に対する利回りを計算します。
74円 ÷ 1,360円 = 5.44%
保有の間、株価は大きく上がっていました。売却時の株価4,360円で計算します。
74円 ÷ 4,360円 = 1.70%
- ステップ①:組み替え検討条件に該当
- 時価利回り1.70%は、基準の2%以下です。
ここで気をつけたいのが、「5%台で持てているのだから、売るのはもったいない」という気持ちです。
取得利回り5.44%は、これまでの投資判断を振り返るには役立ちます。
しかし、売却して別の銘柄に組み替える場合は、時価利回り1.70%を使います。
決めたルールに徹し、次の増配率の確認を行います。
ステップ②:10年増配率は15%以下か
次に、日本ケアサプライの配当金について、増配率を確認します。
| 決算期 | 1株配当 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 2016年3月期 | 25円 | 10年CAGRの起点 |
| : | : | : |
| 2021年3月期 | 46円 | 5年CAGRの起点 |
| : | : | : |
| 2023年3月期 | 70円 | 3年CAGRの起点 |
| 2024年3月期 | 70円 | 据え置き |
| 2025年3月期 | 70円 | 据え置き |
| 2026年3月期 | 72円 | 実績 |
| 2027年3月期 | 74円 | 会社予想 |
2016年3月期の25円から、2026年3月期の72円までを使い、10年増配率を計算します。
(72円 ÷ 25円)1/10 − 1= 11.16%
- ステップ②:組み替え検討条件に該当
- 10年増配率11.16%は、基準の15%以下でした。
補足:日本ケアサプライの配当金について
直近3年の増配率は0.94%で、ほぼ横ばいです。1株配当70円が3期続いた後、2026年3月期に72円となりました。
日本ケアサプライは、2025年2月に累進配当制の導入と、DOE(株主資本配当率)6%を下限とする目標を公表しました。配当金の安定性では、非常に魅力的な方針を掲げています。
ただし、私はルールに従って、売却を行いました。将来の方針は、今回の判定には使いません。あくまで過去の実績から、保有か売却かの判断をします。この点は判断の限界として、後ほど改めて触れます。
※配当実績は会社決算短信、CAGRは会社公表の1株配当から筆者が計算した値です。銘柄スカウターの表示とも一致しています。
ステップ③:外してもポートフォリオの分散は崩れないか
日本ケアサプライはサービス業に分類され、介護保険制度の影響を受けやすい銘柄です。
日本ケアサプライを売却した想定のポートフォリオを確認し、業種や銘柄に偏りがないかを確認しました。

今回は、日本ケアサプライを外しても、ポートフォリオの分散に大きな問題はありませんでした。サービス業の割合は6.4%から5.3%へ下がるだけで、業種の偏りは生まれません。
そのため、半分を残さず、全部を組み替える判断です。

ポートフォリオの確認には、配当キングを使用しています。
3ステップの判定結果:100株すべてを売却

日本ケアサプライについての判断をまとめます。
| 判定 | 確認した数値・状態 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 時価利回り2%以下 | 1.70% | 該当 |
| ② 10年増配率15%以下 | 11.16% | 該当 |
| ③ 全体の分散 | 外しても大きな問題なし | 全部売却 |
結論:組み替え(実行済み)
- 約定日時:2026年6月23日 13時59分
- 売却単価:4,360円
- 売却数量:100株(全株)
- 口座:特定口座

売却したお金は、次の高配当株へ組み替えるための原資にします。
- 売却前の最終確認:税引後でも同じ配当を確保できるか
- 組み替えでは、税引後の資金で同じ配当を確保できるかを確認します。売却代金436,000円から取得費136,000円を引くと、譲渡益は30万円です。手数料等を考えない概算で、税額は30万円 × 20.315% = 60,945円。再投資に回せるのは375,055円です。
年間配当7,400円を保つには、約1.97%の利回りが必要でした。そこで乗り換え先は2%超を目安にしました。
これは保有株を見直す「時価利回り2%以下」とは別の基準です。実際の税額は、口座区分や損益通算で変わります。
乗り換え先の企業を選ぶ5つの基準は、「失敗しない配当株の選び方」で解説しています。
この判断方法の6つの注意点

1.増配率は過去の実績
判断したいのは未来ですが、CAGRが示すのは過去の成長です。利益の伸びや配当性向、会社の配当方針も補足として確認します。ただし、3ステップの判定条件には含めません。
2.利回り2%と増配率15%は「絶対的な基準」ではない
2.01%なら対象外、1.99%なら即売却、という意味ではありません。基準の近くはゾーンとして見て、増配率や分散とあわせて判断します。
3.企業の品質や割安さは判定していない
この方法は、買った後のリバランス専用です。事業の質、財務、利益成長、割安さを評価する企業分析とは役割が異なります。
4.売却には税金や手数料がかかる
課税口座で利益が出ていれば、再投資できる金額は減ります。譲渡益への税金を差し引いた資金で、売却前と同額の配当を確保できるか比べます。
5.起点でCAGRは変わる
単年の増配にはノイズがあります。さらに、どの年を起点にするかでもCAGRは変わります。今回は期間を10年にそろえ、単年の変化をならして確認しました。
6.減配・無配による売却は別ルール
本記事は、値上がりして時価利回りが下がった「優等生」をいつ手放すか、という判断です。業績悪化、減配、無配、不祥事などを理由に売却するケースは対象外です。
Q&A:利確と組み替えでよくある疑問

高配当株の売り時は、どう決めますか?
含み益の大きさだけでは決めません。本記事のような値上がりによる利回り低下なら、時価利回り、10年増配率、ポートフォリオ全体の分散を順番に確認します。減配、無配、業績悪化、不祥事などが理由なら、別の売却ルールで判断します。
取得利回りが高くても、売却を検討しますか?
検討します。取得利回りは投資成果を振り返る数字です。一方、組み替えでは「現在の時価をほかへ振り向けたら、どれだけ配当を得られるか」を比べるため、時価利回りを使います。
全部売るか、半分残すかはどう決めますか?
銘柄を外した後も、業種や配当の分散が崩れないなら全部売却を検討します。分散が弱くなる、判断に迷いが残るといった場合は、一部を残して段階的に組み替える方法もあります。
乗り換え先が見つからない場合は、どうしますか?
無理にすぐ買いません。利確と次の購入は分けて考え、選定基準と買い時を満たす銘柄が見つかるまで、現金で待つ選択肢もあります。利回りだけを見て急いで乗り換えると、企業の質や割安さを見落としやすくなります。
まとめ:含み益ではなく、ルールで出口を決める

永久保有を否定しているわけではありません。高配当で買った株も、現在の時価に対する配当の割合と、配当の成長性で定期的に見直そう、という話です。
- 時価利回りが2%以下か
- かつ、10年増配率が15%以下か
- 両方を満たしたら、全体の分散を見て売却量を決める
4%も、5年も、私の運用基準です。自分が目指す利回りと、待てる期間に置き換えてみてください。
感情ではなく、先に決めたルールで出口を判断する。これが、値上がりした高配当株をポートフォリオの中で生かす方法です。
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本記事は、筆者個人の運用ルールと取引例を紹介するもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断は、ご自身でお願いします。株価・配当予想などは記載時点の情報です。
参考資料
- 日本ケアサプライ「株主還元(配当等)」
- 日本ケアサプライ「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月12日)
- 日本ケアサプライ「長期ビジョン策定のお知らせ(けあさぷVision2040)」(2025年2月3日)
- 日本ケアサプライ「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2023年5月10日)
- 日本ケアサプライ「2021年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2021年5月7日)
- 日本ケアサプライ「剰余金の配当に関するお知らせ」(2016年5月9日)
- 銘柄スカウター(配当履歴・増配率の確認に使用、2026年6月25日時点、筆者確認)
- 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税」
- 国税庁「No.1476 特定口座制度」
