【高配当株の売り時】利回り2%以下かつ10年増配率15%以下で判断

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【高配当株の売り時】利回り2%以下かつ10年増配率15%以下で判断

高配当を期待して買った株…。
想定外に値上がりしていく⤴️
うれしい反面、株価に対する配当利回りは下がります💦。

例えば
配当50円の株を1,000円、利回り5%で買ったとします。
株価が3,000円まで上がると、利回りは5%から約1.7%へ下がります。

こんなとき、迷いませんか?

  • 安く買えたのだから、このまま持ち続けるべき?
  • いったん利益を確定し、別の高配当株へ組み替えるべき?
  • 売るなら、全部と半分のどちらがよい?

私も以前は保有か売るか迷い続けていました。

今では運用ルールに従って判断をし、先日も保有株を100株すべて売却しました。


本記事で解説するのは、新しく株を買うときの「買い時」ではありません。
すでに持っている株を利確し、組み替えるかを判断する方法です。


原則は長期保有です。
それでも永久保有と決めつけず、時価に対してどれだけ配当を生むのかと、配当金の成長性を3ステップで見直します。

ポートフォリオ運用の全体像は、「配当株ポートフォリオの作り方とメンテナンス方法」でまとめています。

結論:2つの基準を満たしたら、組み替えを検討する

先に結論です。
私が利確を検討する基準は、次の2つです。

  • 時価利回りが2%以下
  • 10年増配率(CAGR)が15%以下

両方を満たしたら、ポートフォリオ全体の分散を確認し、全部売るか、一部を残すか決めます。

今回、私の保有銘柄の中で日本ケアサプライ(2393)が2つの基準に当てはまりました。
ポートフォリオの分散は崩れないと判断し、2026年6月23日に100株すべてを売却しています。

なぜこの基準なのか、順番に解説します。

なぜ取得利回りではなく、時価利回りで見直すのか

配当が変わらないまま株価が上がると、時価利回りは下がります。

取得単価1,360円なら取得利回り5.44%、売却時の株価4,360円なら時価利回り1.70%。同じ年間配当74円でも、基準にする株価によって利回りが変わることを示した図

これは企業の事業効率が落ちた、という意味ではありません。保有している資産の時価に対して、受け取れる配当の割合が下がったということです。

含み益は、次に投資できる原資

投資界隈では「含み益は幻」と言われます。
しかし、売却すれば、次の高配当株へ振り向けられる原資になります。

そのため、取得単価ではなく、現在の株価を基準にして「このまま持ち続けるのがよいか」を考えます。

一方で、株価の上昇(利回りの減少)だけで、機械的に売るのは早計です。
高い増配が続けば利回りが上昇し、持ち続けるのが正解だったとなります。

そこで、時価利回り増配率を組み合わせて判断します。

「増配率15%」で判断する理由

なぜ「増配率15%」で利確・組み替えを検討するのか理由を解説します。
目安にするのは、72の法則です。

🔍72の法則とは

資産や配当が2倍になるまでの年数を「72 ÷ 成長率(増配率)」で計算できる法則。

▼計算例
増配率が15%なら、72÷15≒4.8年。
つまり、約5年で配当が2倍になる計算です。

配当が2倍になると、利回りはどうなるか

この時、「時価利回り2%の株」について考えてみます。
株価が変わらず、配当が5年で2倍になれば、5年後の時価利回りは約4%です。

時価利回り2%から5年後に4%へ成長するためには、増配率は約15%が必要。
そのため、次のような線引きをしています。

  • 15%より上→保有継続
  • 15%以下→組み替えを検討

ただし、「4%」も「5年」も、私が決めた運用基準です。
数学的に正しい唯一の答えではありません。

  • 配当金が成長した将来、配当利回りを何%欲しいのか
  • 求める配当利回りまで、何年待つことができるか

この2つを自分の目標に置き換えれば、必要な増配率も変わります。

【参考】5年後に目標とする時価利回りを変えた場合

時価利回り2%の株を基準に考えます。5年後にそれぞれの時価利回りに成長するため、必要な増配率を計算しました。

5年後の時価利回り必要な配当倍率必要な増配率
3.0%1.5倍約8%
3.5%1.75倍約12%
4.0%
(私の基準)
2.0倍約15%
4.5%2.25倍約18%
5.0%2.5倍約20%

【参考】時価利回り4%まで、待てる期間を変えた場合

同じく時価利回り2%を基準に考え、2倍の4%になるまでの期間から、必要な増配率を計算しました。

増配を待つ期間必要な増配率
3年約26%
5年(私の基準)約15%
7年約10%
10年約7%

※表の増配率は「(目標利回り ÷ 現在の利回り)の(1 ÷ 年数)乗 − 1」で計算し、整数に丸めています。72の法則は、考え方をつかむための簡易な目安です。

増配率は単年の変化ではなく、CAGR(年平均成長率)で確認します。計算方法は、「ポートフォリオの増配率を計算する方法」で詳しく解説しています。

ゆず
ゆず

長期目線で増やすのならば、必要な増配率は低くなります。

2つの条件を満たしたら、売却量をどう決めるか

①と②の両方を満たしても、必ず全部を売るわけではありません
ここでは「売るかどうか」ではなく、どれだけ売るかを決めます。

確認するのは、シンプルに1点です。
この銘柄を外しても、分散が崩れないか?

  • 売却後、特定の業種・銘柄へ偏らないか
  • 同じ業種で、ほかに保有している銘柄があるか
  • 景気敏感銘柄へ偏らないか

分散が崩れないなら全部を売り、弱くなるなら一部を残します。
保有している銘柄の構成や株数は、人それぞれです。ポートフォリオに合わせて調整を行います。

利確・組み替えを判断する3ステップ

時価利回り、10年増配率、ポートフォリオ分散の3ステップで利確と組み替えを判断するフローチャート

利確・組み替えする銘柄と株数は下記のステップで決めます。

ステップ①:時価利回りが2%以下か
該当すれば、買い替えの候補にします。
ステップ②:10年増配率が15%以下か
①と②の両方を満たせば、組み替えを本格的に検討します。
ステップ③:全体の分散は崩れないか
全部売るか、一部を残すか決めます。

ポイントは、ステップ①と②の両方を満たすこと。
利回りが下がっただけでも、増配率が低いだけでも動きません。両方を満たして、はじめて組み替えの検討へ進みます。

【実践】保有していた株を3ステップで判定する

ここからは、私が保有していた日本ケアサプライ(2393)で、3ステップの判断を実践します。

これは企業分析の記事ではありません。保有株の数値が条件に当てはまったため、運用ルールの実例として紹介します。

今回の判定に使う前提
対象:日本ケアサプライ(2393)
業種:サービス業
事業内容:介護保険の対象となる福祉用具を、地域の貸与事業者へレンタル・販売する卸売事業が中核です。
取得単価:1,360円
売却時の株価:4,360円
予想1株配当:74円(2027年3月期の会社予想)

※判定は売却前に行っています。本記事の利回りは、実際の約定単価4,360円で再計算した値です。

ステップ①:時価利回りは2%以下か

取得単価に対する利回りを計算します。
74円 ÷ 1,360円 = 5.44%

保有の間、株価は大きく上がっていました。売却時の株価4,360円で計算します。
74円 ÷ 4,360円 = 1.70%

ステップ①:組み替え検討条件に該当
時価利回り1.70%は、基準の2%以下です。

ここで気をつけたいのが、「5%台で持てているのだから、売るのはもったいない」という気持ちです。

取得利回り5.44%は、これまでの投資判断を振り返るには役立ちます。
しかし、売却して別の銘柄に組み替える場合は、時価利回り1.70%を使います。

決めたルールに徹し、次の増配率の確認を行います。

ステップ②:10年増配率は15%以下か

次に、日本ケアサプライの配当金について、増配率を確認します。

決算期1株配当位置づけ
2016年3月期25円10年CAGRの起点
2021年3月期46円5年CAGRの起点
2023年3月期70円3年CAGRの起点
2024年3月期70円据え置き
2025年3月期70円据え置き
2026年3月期72円実績
2027年3月期74円会社予想

2016年3月期の25円から、2026年3月期の72円までを使い、10年増配率を計算します。

(72円 ÷ 25円)1/10 − 1= 11.16%

ステップ②:組み替え検討条件に該当
10年増配率11.16%は、基準の15%以下でした。

補足:日本ケアサプライの配当金について

直近3年の増配率は0.94%で、ほぼ横ばいです。1株配当70円が3期続いた後、2026年3月期に72円となりました。

日本ケアサプライは、2025年2月に累進配当制の導入と、DOE(株主資本配当率)6%を下限とする目標を公表しました。配当金の安定性では、非常に魅力的な方針を掲げています。

ただし、私はルールに従って、売却を行いました。将来の方針は、今回の判定には使いません。あくまで過去の実績から、保有か売却かの判断をします。この点は判断の限界として、後ほど改めて触れます。

※配当実績は会社決算短信、CAGRは会社公表の1株配当から筆者が計算した値です。銘柄スカウターの表示とも一致しています。

ステップ③:外してもポートフォリオの分散は崩れないか

日本ケアサプライはサービス業に分類され、介護保険制度の影響を受けやすい銘柄です。
日本ケアサプライを売却した想定のポートフォリオを確認し、業種や銘柄に偏りがないかを確認しました。

日本ケアサプライ売却前後のポートフォリオ構成比。サービス業の割合が6.4%から5.3%へ下がり、全体の分散に大きな問題はないと判定

今回は、日本ケアサプライを外しても、ポートフォリオの分散に大きな問題はありませんでした。サービス業の割合は6.4%から5.3%へ下がるだけで、業種の偏りは生まれません。

そのため、半分を残さず、全部を組み替える判断です。

ゆず
ゆず

ポートフォリオの確認には、配当キングを使用しています。

3ステップの判定結果:100株すべてを売却

日本ケアサプライについての判断をまとめます。

判定確認した数値・状態結果
① 時価利回り2%以下1.70%該当
② 10年増配率15%以下11.16%該当
③ 全体の分散外しても大きな問題なし全部売却

結論:組み替え(実行済み)

  • 約定日時:2026年6月23日 13時59分
  • 売却単価:4,360円
  • 売却数量:100株(全株)
  • 口座:特定口座
ゆず
ゆず

売却したお金は、次の高配当株へ組み替えるための原資にします。

売却前の最終確認:税引後でも同じ配当を確保できるか
組み替えでは、税引後の資金で同じ配当を確保できるかを確認します。売却代金436,000円から取得費136,000円を引くと、譲渡益は30万円です。手数料等を考えない概算で、税額は30万円 × 20.315% = 60,945円。再投資に回せるのは375,055円です。
年間配当7,400円を保つには、約1.97%の利回りが必要でした。そこで乗り換え先は2%超を目安にしました。
これは保有株を見直す「時価利回り2%以下」とは別の基準です。実際の税額は、口座区分や損益通算で変わります。

乗り換え先の企業を選ぶ5つの基準は、「失敗しない配当株の選び方」で解説しています。

この判断方法の6つの注意点

1.増配率は過去の実績

判断したいのは未来ですが、CAGRが示すのは過去の成長です。利益の伸びや配当性向、会社の配当方針も補足として確認します。ただし、3ステップの判定条件には含めません。

2.利回り2%と増配率15%は「絶対的な基準」ではない

2.01%なら対象外、1.99%なら即売却、という意味ではありません。基準の近くはゾーンとして見て、増配率や分散とあわせて判断します。

3.企業の品質や割安さは判定していない

この方法は、買った後のリバランス専用です。事業の質、財務、利益成長、割安さを評価する企業分析とは役割が異なります。

4.売却には税金や手数料がかかる

課税口座で利益が出ていれば、再投資できる金額は減ります。譲渡益への税金を差し引いた資金で、売却前と同額の配当を確保できるか比べます。

5.起点でCAGRは変わる

単年の増配にはノイズがあります。さらに、どの年を起点にするかでもCAGRは変わります。今回は期間を10年にそろえ、単年の変化をならして確認しました。

6.減配・無配による売却は別ルール

本記事は、値上がりして時価利回りが下がった「優等生」をいつ手放すか、という判断です。業績悪化、減配、無配、不祥事などを理由に売却するケースは対象外です。

Q&A:利確と組み替えでよくある疑問

高配当株の売り時は、どう決めますか?

含み益の大きさだけでは決めません。本記事のような値上がりによる利回り低下なら、時価利回り、10年増配率、ポートフォリオ全体の分散を順番に確認します。減配、無配、業績悪化、不祥事などが理由なら、別の売却ルールで判断します。

取得利回りが高くても、売却を検討しますか?

検討します。取得利回りは投資成果を振り返る数字です。一方、組み替えでは「現在の時価をほかへ振り向けたら、どれだけ配当を得られるか」を比べるため、時価利回りを使います。

全部売るか、半分残すかはどう決めますか?

銘柄を外した後も、業種や配当の分散が崩れないなら全部売却を検討します。分散が弱くなる、判断に迷いが残るといった場合は、一部を残して段階的に組み替える方法もあります。

乗り換え先が見つからない場合は、どうしますか?

無理にすぐ買いません。利確と次の購入は分けて考え、選定基準と買い時を満たす銘柄が見つかるまで、現金で待つ選択肢もあります。利回りだけを見て急いで乗り換えると、企業の質や割安さを見落としやすくなります。

まとめ:含み益ではなく、ルールで出口を決める

永久保有を否定しているわけではありません。高配当で買った株も、現在の時価に対する配当の割合と、配当の成長性で定期的に見直そう、という話です。

  • 時価利回りが2%以下か
  • かつ、10年増配率が15%以下か
  • 両方を満たしたら、全体の分散を見て売却量を決める

4%も、5年も、私の運用基準です。自分が目指す利回りと、待てる期間に置き換えてみてください。

感情ではなく、先に決めたルールで出口を判断する。これが、値上がりした高配当株をポートフォリオの中で生かす方法です。

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本記事は、筆者個人の運用ルールと取引例を紹介するもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断は、ご自身でお願いします。株価・配当予想などは記載時点の情報です。

参考資料